日記とか、絵とか文とかメモとか保管するとこです
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ふわり
私の前に真白い羽がこぼれおちる。
少し遅れて舞い降りるのは、幼い幼い光の子。
「あなたが……わたしのつるぎ?」
透き通った声で光の幼子が言った。
私は恭しく微笑み――とは言え私は無機物なので“つもり”で――主となる幼子に返す。
「はい、私の主。私はあなたの剣。主に永遠の忠節を誓い、主の御傍で、御身と主の“大切なもの”の為、身を捧げる事を誓います」
私の誓いに、幼い主は戸惑いがちに頬を赤くする。
「……えと……んと……」
口籠もってしまった。
…格式ばった物言いに緊張させただろうか。
「……つまり、あなたが何かを守るため自由に使える剣です。どうぞよろしく、主」
今度は少し茶目っ気を混ぜて微笑んだ“つもり”で言うと、主は嬉しそうににっこりと笑う。
「うん、ありがとぉ!……わたし、これからたくさん、まもりたいものができるの」
屈託なく優しげにはにかみ、私に小さな手を伸ばす。
その手に合うよう身を縮め、どうか気を付けてと一言添えた。
「存じております、主。その為に私を存分に振るわれますよう」
小さく幼い手なのに、収まればどこか安堵する。
「うん、にいさまもねえさまも、きっとたくさんできるおとうといもうとたちも、みんなみんな」
幼い動作ながら、私を掲げて膝をつく主。私の中心の聖石に口づける。
「たいせつにまもる。まもれますように。……わたし、がんばるよ。つるぎと」
幼い誓いがいじらしくて、私の心を穏やかに満たす。
「私は……あなたのつるぎは、永遠にあなたを守る為に在ります、主」
心優しい主を頂けた幸福を噛み締め、再度誓う。
「うん……えへへ、よろしくね、わたしのつるぎ!」
照れくさそうにはにかむ主。
その呼び掛けの、なんと心地良い事か。
御意に、と身を光らせて返答する私に、尚嬉しそうに主は微笑んだ。