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日記とか、絵とか文とかメモとか保管するとこです
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「寿」

毎日戦いのような子供達との夕飯と入浴を済ませた後、やっと訪れた平穏な時間。
ソファに腰掛け、娘を抱き、次男を背に揺らせながら、妻に声を掛ける。

「んー?」

大きな腹で長男の服を着替えさせている妻は、アイスをねだる長男に「明日な」と笑いながらくつろいだ返事をする。

「今日は良い夫婦の日だったらしいぞ?」

うとうとしている娘の背をぽんぽんと叩いて、妻によく似た面差しに頬を緩ませながら、先ほどテレビで流れていた特集を思い出す。
『いーふーふってなに?』『あー……仲良しこよしのパパとママだな』長男に説明すると、台所に立つ母と、父を見ては嬉しそうに頷いた。

「そやったっけ?」
「そーだ、11月22日だからな」

「そういえばそうやわ」とパジャマに着替えさせ終えた長男を撫でて笑っている。

「なー」
「んー?」
「……あのさぁ」
「なんやの」

「パパな、ママとちゅーしたいんだって」

聡い長男は妻に抱きついたままくふふ、と笑っている。

「あっ、こ、こら、大河」
「……そうなん?」
「いや、その」
「いーふーふはなかよしこよしって、パパ言ったもん」
「言ったけどな……」
「ちゅー?ちゅー?」

次男もにこにこと反応し始めるし、長男はなかなかの伏兵っぷりである。
『なかよしこよしなパパとママすきー』『良いだろ?ちゅーくらいしないとな』
気を抜いてそんな話をしてしまった自分を少し恨む。
そもそも、子供が皆寝静まってから言えばよかったなと思ってみても遅い。

「あいくんも、ママちゅー」
「えっ!あいくんがするならたいがも!パパとママとしたい」
「ちょ、ちょいまちぃ」
「しーっ!れいな起きちゃうからな?」

むにゃりもぞもぞと身じろぎする腕の中の娘(今気づいたのだがシャツによだれの染みを作られている)。
起こしてはいけないとしーっしーっと人差し指を立てる。
楽しそうに父を真似る素直な子供達である。

くすくす
その様子を見て笑う妻。

「ちゅーしたげるから、ねんねしよなー?」
くふふと笑う子供達の手を引いて、寝室へ連れていく。

その後ろを、娘によだれでシャツを汚されながら、溜息混じりについてゆく。

……ちゅーはシャツを洗ってからかな。
ひとりごちた。

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ふわり

私の前に真白い羽がこぼれおちる。
少し遅れて舞い降りるのは、幼い幼い光の子。

「あなたが……わたしのつるぎ?」

透き通った声で光の幼子が言った。

私は恭しく微笑み――とは言え私は無機物なので“つもり”で――主となる幼子に返す。
「はい、私の主。私はあなたの剣。主に永遠の忠節を誓い、主の御傍で、御身と主の“大切なもの”の為、身を捧げる事を誓います」

私の誓いに、幼い主は戸惑いがちに頬を赤くする。
「……えと……んと……」
口籠もってしまった。
…格式ばった物言いに緊張させただろうか。

「……つまり、あなたが何かを守るため自由に使える剣です。どうぞよろしく、主」
今度は少し茶目っ気を混ぜて微笑んだ“つもり”で言うと、主は嬉しそうににっこりと笑う。

「うん、ありがとぉ!……わたし、これからたくさん、まもりたいものができるの」
屈託なく優しげにはにかみ、私に小さな手を伸ばす。

その手に合うよう身を縮め、どうか気を付けてと一言添えた。
「存じております、主。その為に私を存分に振るわれますよう」
小さく幼い手なのに、収まればどこか安堵する。

「うん、にいさまもねえさまも、きっとたくさんできるおとうといもうとたちも、みんなみんな」
幼い動作ながら、私を掲げて膝をつく主。私の中心の聖石に口づける。
「たいせつにまもる。まもれますように。……わたし、がんばるよ。つるぎと」

幼い誓いがいじらしくて、私の心を穏やかに満たす。

「私は……あなたのつるぎは、永遠にあなたを守る為に在ります、主」

心優しい主を頂けた幸福を噛み締め、再度誓う。

「うん……えへへ、よろしくね、わたしのつるぎ!」

照れくさそうにはにかむ主。
その呼び掛けの、なんと心地良い事か。

御意に、と身を光らせて返答する私に、尚嬉しそうに主は微笑んだ。



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プロフィール
えぬたろです(´∀`) 好きなものを描いたり書いたりです
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